昭和24年、尾瀬で初めて出会った水芭蕉の花は、日本画抽象絵画の極限を極めた佐藤多持の画家人生を決定づけたと云っても過言ではない。
朝に昼に夕べに神秘的に咲き誇る水芭蕉に魅せられた若き画家は、以後50年以上に亘って、その花を描きつづけたのである。具象を極め、形象を極め、色を極め、心象を極めて遂に水芭蕉曼陀羅となって昇華した作品は、時と共に光芒を放ち、歴史に残るであろう。
作品を前にすると、私たちは生命の兆す深奥の世界へと、また無限の宇宙へと誘なわれます。
この度佐藤家のご好意により、水芭蕉曼陀羅の名作の数々を時代を追って展示、同時に、つい先刻描かれたと思われる程鮮やかな油絵も多数展示いたします。畢生の大業を成し遂げた佐藤多持先生の作品をこれ程バラエティーに富んで展観出来るのはめずらしく、またこれらの作品をご所蔵出来るまたとない機会でございます。何卒ご高覧賜ります様ご案内申し上げます。
曼陀羅
「曼陀」とは本質、心髄「羅」とは得ると云う仏教上の意のようですが、「水芭蕉」を通じて美の本質、心髄を得ると云うことになります。表面上の形式や様式を追っているのではありません。曼陀羅の精神を体得する創造への探求です。(佐藤多持図録より)
佐藤多持略歴
1919年 国分寺市生。'41年 現芸大日本画科卒。応召、けがの為除隊。戦後3年間山本岳人に師事。公募展に日本画・洋画を10年間出品。'49年 尾瀬にスケッチ旅行、水芭蕉に感動。'57〜'97年の40年間知求会に研究発表、毎年個展または秀作展、国際展等に招待出品。'80年 生家の観音寺客殿襖絵38面を完成。'99年上海中国画院美術館で個展。2001〜'02年 韓国国立現代美術館「韓・中・日水墨画展」出品。'04年11月逝去86才。現在東京国立近代美術館、米国ヒューストン市をはじめ内外の公立美術館等30ヵ所以上が作品を収蔵。
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